実務色の強い監査論


新試験制度の論文式試験においても、監査論は名称にも内容にも特段の変更がありません。
出題される問題数は大問が2問となっており、現行試験制度のままです。試験時間も2時間で現行試験制度とまったく変わりません。
試験問題についても、現行試験制度と大きな変わりはないと予想されます。
従来から監査論はその出題範囲が狭く、勉強にあまり時間をかけなくとも対応が可能でしたが、今後もその点あまり変わりはないでしょう。
ただし、監査論の出題傾向としては、年々実務色が強まっていることに注意が必要です。
その原因のひとつとして、試験委員に大手監査法人で働く公認会計士が複数問題作成に関わっていることが関係していると思われます。
従来多くみられた用語説明を求める問題であれば、監査基準の丸暗記でも対応が可能でした。
しかし、このところ実務上の関心が集まっている論点が出題されたり、事例を挙げて経理部長や経営者とのディスカッショを想定して、どのような考え方をとるべきかを問うなど、監査現場に直結する問題が数多く出題されています。
このような問題で得点するためには、監査業務で直面する問題について様々な角度から理論的に検討する訓練が欠かせません。
ただし、一般の受験生は監査の実務に従事することは事実上不可能です。
そのため、考える訓練を重ねるには、問題演習を重ねるほか方法はありません。
これらの事情を総合的に考え合わせると、今後の論文式試験の監査論の勉強の方法がおのずと見えてきます。
まず第1に監査基準を中心とした古典的な監査理論を学習することが必要になります。
監査基準はそのボリュームも大変少ないため、何度も読み返し暗記するほど読み返すことが欠かせません。
その上で、基本的な問題演習をこなして、監査理論の基礎を確実なものにします。
その次に、実務上の関心が集まっているリスク・アプローチなどの論点を重点的に勉強します。
最後に、後発事象への実務的な対応方法など、監査の現場を想定した事例形式での出題を想定した応用問題をこなしていけば高得点は間違いありません。







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